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Hola México! by JDOX 2025 7月号

Vol.4 : 受け継がれる手仕事、メキシコの陶芸

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「私はこれでメキシコにハマった!」というきっかけは、人それぞれ色々あるでしょう。メキシコが私たちを惹きつけてやまない理由の一つに、先住民族とスペインの文化が融合した「手工芸品」の魅力があると思います。中でも「陶芸」は奥の深いジャンルと言えそうです。

もともとメキシコには焼き物に適した良質な土が取れるというメリットがあったようですが、陶器の技術が伝わったのは 16 世紀。スペインからマジョリカ焼きがもたらされたことで、それまでメキシコで行われてきた「素焼き」の製法だけでなく「製陶」というスキルが加わりました。

メキシコ元来のデザインや色彩感覚が加わることで、陶芸の文化が花開きました。その1つの代表的なものが「タラベラ焼き」です。プエブラ州で作られるタラベラ焼きは、2019 年にメキシコとスペインの2ヶ国にまたがる形でユネスコの世界無形文化遺産にも登録されています。タラベラ焼きと称して、メキシコ全土のお土産屋さんにはカラフルな食器や雑貨が並んでいます。ですが、タラベラ焼きもテキーラと同じく原産地呼称制度をとっているそう。本来は政府認定の工房で作られていることや青·黄·黒·緑·オレンジ·紫と決められた色のみを使っているといったルールにのっとったものだけがタラベラ焼きと呼ばれるのだとか。とはいえ、コレクターならいざしらず、手 工芸品は難しいことを考えずに、一期一会の出逢いを楽しむのがよいのではないでしょうか。


タラベラ焼きのような歴史ある陶芸も素敵ですが、個人的に大好きな焼き物は「セルビン焼き」です。1980年代にハビエル·セルビンさんの手によって生み出されたこの焼き物の魅力は、なんといってもその精緻な幾何学模様です。もちろん、一つひとつすべて職人の手作業で描かれています。ハビエルさん、もともとは大学で建築学を学んでいたそうなのです。建築が生み出す「計算しつくされた美しさ」を陶芸のデザインにも反映しているのだとか。どことなく、オリエンタルな魅力もあり、在メキシコの日本人にファンが多いのも納得。私も何度もグアナファト州の工房に足を運びましたが、そのたびに財布のひもが緩みっぱなしでした。気に入って食卓に並ぶ回数が増えれば増えるほど、割れてしまうのもまた陶器の一面。悲しい別れが何度もありましたが、そこは使ってなんぼ!のメキシコ陶器。たくさん使って毎日の生活を彩ってもらうのがいい付き合い方だと思っています。


発行元:ジェイドックス株式会社

Tel: 080-1386-6655 Email: import@j-dox.com

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