top of page
< Back

Hola México! by JDOX 2025 10月号

Vol.7 : 世界に知られた死者の日

  • Line
ree

ree

カラフルにデコレーションされた祭壇にオレンジ色のマリーゴールドの花、そして華やかな衣装と特徴的なガイコツメイクの仮装 …… メキシコの「死者の日」に欠かせないこれらのアイコンは、すっかり日本でもおなじみになってきているようです。これは2017年(日本では2018 年)に公開されたディズニー映画「リメンバー·ミー」の影響が大きいと思います。「メキシコのことはよく知らないけれど、死者の日のガイコツはなんとなく見たことある」という人も多いのではないでしょうか。

 

死者の日とは、日本でいうところのお盆のような習慣です。亡くなった人々が家族のもとに帰ってくると言われています。プレヒスパニックの時代は、この日は水が原因で亡くなった人が帰ってくる日、この日は火が原因など細かく分類されていたそうです。スペイン統治時代以降はカトリックの祭日と合わさったことで、現在のように11月1日は子どもが帰ってくる日、そして11月2日は大人が帰ってくる日と考えられています。

 

この時期、メキシコシティの目抜き通り·レフォルマ通りの植木はマリーゴールドに植え替えられ、大々的な「死者の日パレード」が行われます。2024 年は130 万人以上がつめかけた、とはメキシコ政府の発表です。

 

それほど大盛況を納めたイベントですが、実はこのパレード自体の歴史は浅く、2016 年に始まったものです。そのきっかけになったのが 2015 年公開の映画「007スペクター」。冒頭で、死者の日をモチーフにしたパレードのシーンが流れるのですが、それに着想を得て、実際にメキシコシティでパレードを行うようになりました。

 

そのため、私がメキシコシティに移住した2010年はそこまで死者の日が大きなイベントだった印象はありません。ミチョアカン州パツクアロのようにすでに観光地化していたところや、キンタナロー州のリゾート施設「シカレ」のようにイベントを仕掛ける地方もあるにはありましたが …… 。

 

今、メキシコシティでみられるような盛り上がりは「007」「リメンバー·ミー」といった(メキシコから見た)外国映画の影響が大きいと感じます。海外の制作者によって描かれた自国の文化をある意味「客観的に」見ることで、むしろその輪郭がはっきりしたのではないかと勝手に思っています。

 

「単に資本主義に飲み込まれただけ」と思う向きもあるかもしれません。でも、メキシコ人にとって「伝統の再発見」につながっているのかもしれないと思うと、あのパレードにも意味があるのでしょう(といいつつ、私は混雑する場所に行くのが嫌いなので、一度も見に行ったことがなかったりする)。


ree

発行元:ジェイドックス株式会社

Tel: 080-1386-6655 Email: import@j-dox.com

※本紙に掲載されているテキストなどの無断掲載、

複製、転載を禁じます。

ree


bottom of page