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Hola México! by JDOX 2025 11月号

Vol.8 : 「いい夫婦」のカタチ

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日本には、1年365日すべての日に「〇〇の日」という記念日が設定されているそうです。その中でもメジャーどころは11月22日の「いい夫婦の日」。そんな記念日がある月に「メキシコ人と結婚観」について考えてみたいと思います。


メキシコには大きく二つの結婚方法があります。一つが「民事婚」。結婚に必要な書類をそろえて、立会人と共に役所で簡単な式を行うものです。私も一度、友人に頼まれて立会人になったことがありますが、なんなら新郎新婦も私も普段着。印象としては、日本で役所に婚姻届けを出しに行くくらいのシンプルさでした。そして二つ目の方法が「教会婚」。こちらはいわゆる「結婚式」のイメージ通りのもので、神の前で結婚を誓ったのち、大勢の人を呼んで食事やダンスを楽しむものです。

そして現在、新しい結婚の形が広がってきています。それが「事実婚」です。メキシコ国立統計地理情報院の統計によると、2023年では 15歳以上の人口のうち、19.1%が事実婚をしていると言われています。特にこの傾向は都市部で広がっています。その背景は、日本と似たようなもの。物価高や経済的な不安から、いわゆる従来の「結婚」の形を望まなかったり、女性の教育水準やキャリア志向の高まりが影響したりなどしているようです。


たしかに、私の周りを見渡しても、例え子どもができようとも「結婚」にはこだわらないというメキシコ人女性が一定数います。私などは「子どもができたなら結婚すればいいのに。万が一離婚したときに権利を主張できなさそう」と心配してしまうのですが。


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その点についても、2006 年にメキシコシティで交付された「同居関係法」のように、すでに扶養の義務などー定の効果のある法律が整えられ、その後 2008年には最高裁で事実婚の法的地位を認めています。とはいえ、長く続けた事実婚を解消したシングルマザーの友人は「元パートナーから養育費が全然支払われない」とぼやいておりましたが …… 。


長い歴史の中でカトリックの考えが根強かったメキシコですが、それでも結婚の形、家族の形に関しては早い段階でリベラルになってきているようです。日本ではどうしても「後進国」としてみられがちなメキシコ。でも意外にも日本の方が学ぶべき先進の部分もあったりするのです。





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日本に先んじて、新しい婚姻の形としてメキシコが認めたものとしては「同性婚」も挙げられます。2024 年にメキシコ国内で提出されたおよそ48万 6000件の婚姻届けのうち、同性婚は約 6300件だったそうです。


2015 年に州の同性婚禁止は憲法違反であると示した連邦最高裁の判決が出たことが後押しになった同性婚の合法化ですが、その時の裁判長は"El amor es amor"(愛はどんな形であれ愛である)と発言したのだとか。


この裁判長の言葉は、結婚、そして家族の多様性を上手に表しているなと思います。男性と女性が婚姻関係を結ぶのも、同性同士でつくる家族であっても、シングルマザーやシングルファザーであっても、そこにある「愛」には違いはないのでしょう。


「いい夫婦」のカタチは変わっても、愛の形は不変なのです。


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発行元:ジェイドックス株式会社

Tel: 080-1386-6655 Email: import@j-dox.com

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